前回は土地の所有権保存登記が出来る事、
独立行政法人の法令を読んだ結果、独立行政法人は国の機関とみなして、嘱託で登記をやることまではわかった
では嘱託登記とは何なんだという事で、だいぶ忘れたので復習
1 嘱託登記とは
受験時代の知識を思い出すと、嘱託登記って裁判所がやるイメージがありまして、特に差押とか。
差押の登記を裁判所がわざわざ、町の司法書士に依頼してやるの?違うだろーと思い。
最初にもしかしたら独立行政法人の担当部署?が登記の申請をして、いち司法書士が関与する登記じゃないんじゃないかと思いました。
ただ、「嘱託による登記」とは官公署が登記をする事を言い、実質は申請と異ならないのであり、
「嘱託」という用語を使ってるのは、添付書類などについて特例を認めるため、
一般私人の「申請」と区別している。
要は官公署がやる申請が嘱託登記。
よって、簡単に言うと、独立行政法人○○から委任を受けて申請するという事。
では、独立行政法人○○から委任を受けて登記するにしても、その保存登記の課税価格、登録免許税は?
2 独立行政法人の所有権保存登記の登録免許税
これについては、今まで見た限り国の機関として扱うので、多分非課税だろうとあたりをつけて
(1)登録免許税法を読んでみる。
登録免許税法
平成25年6月28日 改正
第4条 【公共法人等が受ける登記等の非課税】
1 国及び別表第二に掲げる者が自己のために受ける登記等については、登録免許税を課さない。
独立行政法人○○法施行令では登録免許税4条を準用してないので、国とみなさないので、
別表第二に記載しているか、別表第二を見てみる
別表第二【非課税法人の表(第四条、第五条関係)】について、日本年金機構、地方公共団体や国立大学法人などがあるが、本件の独立行政法人○○は無し。
ただ、
別表第二【非課税法人の表(第四条、第五条関係)】 名称 | 根拠法 |
独立行政法人(その資本金の額又は出資の金額の全部が国又は地方公共団体の所有に属しているもののうち財務大臣が指定をしたものに限る。) | 独立行政法人通則法及び同法第一条第一項(目的等)に規定する個別法 |
こちらに独立行政法人を包括して記載があるので、こちらについて調べる
(2)「資本金の額又は出資の金額の全部が国または地方公共団体の所有に属しているもの」については
まずは独立行政法人○○のホームページを調べてみる。
ページを見てみると、情報公開、財務諸表を発見
このページを見て、最新の財務諸表を見てみる。そこに資本金の明細を発見
そこを見る限り、資本金 政府出資金が金○○円となっており、最初に取得した独立行政法人○○の登記事項を見た限りその資本金と同じ金額
よって、本件独立行政法人○○は「資本金の額の全部が国の所有に属しているもの」と言える。
(3) 次に「財務大臣が指定しているかどうか」について
ネットで「独立行政法人 登録免許税法別表第二財務大臣が指定」を検索すると、
財務省の告示第五十七号のページが検索にヒット
告示第57号
登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)別表第 二独立行政法人の項の規定に基づき、自己のために受ける同法第二条に規定する登記等につき登録免許税を課さない独立行政法人を次のように指定する。
別表に揚げる独立行政法人
この別表に独立行政法人○○を発見
よって、独立行政法人○○は財務大臣の指定と言える。
とするならば
(4)本件独立行政法人は登録免許税第四条1項別表第二に定める独立行政法人として非課税。
尚、上の表の右枠、別表第二【非課税法人の表(第四条、第五条関係)】の根拠法として独立行政法人通則法及び同法第一条第一項(目的等)の規定をざっと見てみたけど、独立行政法人の設立や運営、管理など基本的な事が記載されてました。非課税とする登録免許税(個別法)を定めることによって、公益上の見地になるよって事だと思います。
(5)登録免許税法第四条 第2項 別表第三 について 余談
とりあえず、本件はこれで解決だけど、4条2項も見てみる
登録免許税第4条 2項
別表第三の第一欄に掲げる者が自己のために受けるそれぞれ同表の第三欄に掲げる登記等(同表の第四欄に財務省令で定める書類の添附があるものに限る旨の規定がある登記等にあつては、当該書類を添附して受けるものに限る。)については、登録免許税を課さない。
2項は主体に加えて、登記の種類によっては非課税となる規定 後 添付書類も要求される。
例えば学校法人が校舎を取得する場合(保存、移転など)の登記など
別表第三 名称 | 根拠法 | 非課税の登記等 | 備考 |
十九の二 独立行政法人(別表第二に掲げるものを除き、国又は地方公共団体以外の者に対し、利益又は剰余金の分配その他これらに類する金銭の分配を行わないもののうち財務大臣が指定したものに限る。) | 独立行政法人通則法及び同法第一条第一項(目的等)に規定する個別法 | 一 事務所用建物の所有権の取得登記又は当該建物の敷地の用に供する土地の権利の取得登記 二 独立行政法人通則法第一条第一項に規定する個別法の規定による業務のための別表第一第一号から第二十三号までに掲げる登記又は登録で特に公益性が高い業務のためのものとして財務大臣が指定したもの | 第三欄の第一号又は第二号の登記又は登録に該当するものであることを証する財務省令で定める書類の添付があるものに限る。 |
第二表と異なり、「国又は地方公共団体以外の者に対し、利益又は剰余金の分配その他これらに類する金銭の分配を行わないもののうち」の要件が追加されてました。
簡単に言えば、国以外の者に対して、利益分配を行ってはダメみたいですね
んで、又財務大臣の指定が出てきました。こちらは 平成15年9月30日 財務省告示第610号
ここで問題になるのは第三表は登記の種類によって、非課税かどうか決まるのですが、非課税にするためには、
「当該建物の敷地の用に供する土地の権利の取得登記」にあたるとして、
「第三欄の第一号の登記に該当するものであることを証する財務省令で定める書類の添付があるものに限る。」
この添付書類の添付が必要なので、この場合だとこの添付書類を何にするかでより、大変だったかなと
敷地の用に供するかどうかって、なんでわかるんでしょう?地積測量図とか公図とか建物の登記事項証明書とか添付するのかな・・