昨日から10時間くらいかかって、色々調べて、やっと概要がつかめてきたので、メモ的に記載。
久々にあの重い登記六法を取り出したりしました。
ある独立行政法人名義の無番地の所有権保存登記をするにあたり、思考過程の流れの整理をしましたので、他の独立行政法人の登記申請の進め方の参考にでも
尚、独立行政法人の名称は記載せず、独立行政法人○○と記載してます。
1 無番地の土地の所有権保存登記
(1)まず、思ったことは無番地?
土地の所有権保存登記?なんてあったっけ?って事でした、
届出?と思いましたが、調べたところ、相続とかでたまにあるみたいなようでした。
なんとなく換地がらみかなー、無番地って聞いたことあったような感じしますが、
具体的には国有地とかがそうみたいですね。
番外地(ばんがいち)とは日本の住所の表記のひとつであり、土地公簿で地番のついていない土地を指す。無番地(むばんち)、無地番地(むちばんち)とも呼ばれる[1]
(2)では、土地の所有権保存登記って?
建物については保存登記ってありますが、土地って保存登記されるんだっけ?って思いました。
法務局などに書類出して職権登記される?とかちょっと考えましたが
これも調べたところ、あるみたいですね。例えば、埋め立てした場合とか、國の土地を払い下げた場合などがあるみたいです。
無番地の土地の所有権保存登記はある
そもそも、今回、調査士により土地表題登記もされるので、無番地かどうかは問題とならず、土地の保存登記ができるかどうかだけわかればよい事だった。
土地も建物と同様所有権保存登記はある
2 独立行政法人が名義人の不動産登記
次に土地の保存登記ができるとして、では独立行政法人名義の保存登記の特殊性、申請の仕方、登録免許税など、司法書士が代理申請できるか?
とりあえず、全く?の状態だったので、登記情報で登記事項証明書を取得、
うん、登記されてるんだなと、設立は○○年かーと
まーこれ見ても、全く糸口にもならないので、結局、法令読み込むんだろうなーとあたりをつけて
法令を検索すると、独立行政法人○○法施行令がヒット!
(1) まずは、法令を検索
とりあえず、以下抜粋しましたが、結局は国の機関とみなすんだなーと
独立行政法人○○法施行令
第十八条 次の法令の規定については、機構を国の行政機関とみなして、これらの規定を準用する。
五 司法書士法(昭和二十五年法律第百九十七号)第六十八条第一項
十二 登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)第二十三条
二十二 不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第十六条、第百十六条及び第百十七条
二十三 地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律(平成二十年法律第四十号)
三十 不動産登記令(平成十六年政令第三百七十九号)第七条第一項第六号(同令別表の七十三の項に係る部分に限る。)及び第二項、第十六条第四項、第十七条第二項、第十八条第四項並びに第十九条第二項
何かいっぱい出てきたんで、この条文をまずは、ワードにコピペして、準用の法律を一個一個検索。
そしてそれを 条文の下あたりに記載して一個一個つぶしていく。この作業がめんどくさいが、結構久々に基礎も確認出来て、いい勉強になったような。
(a)司法書士法68条は公共嘱託登記司法書士協会に関する条文。
これ見たときに 公共嘱託登記司法書士協会(以下協会)が専権的に登記やって、一司法書士が登記申請出来ないのではないか?って思ったけど、この条項設立に関しての条項なんで、結局は独立行政法人○○による不動産の権利に関する登記の嘱託を目的として、設立できるよって事
よって、今回は関係なし
(b)登録免許税法23条は嘱託登記の場合の納付について
登録免許税法23条
(嘱託登記等の場合の納付) 第二十三条 官庁又は公署が別表第一の第一号から第二十二号までに掲げる登記等を受ける者のために当該登記等を登記官署等に嘱託する場合には、当該登記等を受ける者は、当該登記等につき課されるべき登録免許税の額に相当する登録免許税を国に納付し、当該納付に係る領収証書を当該官庁又は公署に提出しなければならない。この場合において、当該官庁又は公署は、当該領収証書を当該登記等の嘱託書にはり付けて登記官署等に提出するものとする。
これ見たとき、あ、非課税じゃないのかな?って思いました。
別表第一号には所有権保存登記も記載されていまして、
ただ、ちゃんと読むと 「受けるものために」って書いてる有るので、今回「官庁又は公署」を独立行政法人○○と読み替えるので、
結局これ、独立行政法人○○が登記義務者になる場合の規定なんだろうなーと、
後後調べると 官公署が当事者となる嘱託登記は単独申請(権利者、義務者の2者対立構造の場合でも)であり、国が義務者の場合は国が権利者に代わって申請するようなものなので、
まーこのような規定があるのかなと
今回は、保存登記なので、国(独立行政法人○○)が所有者(権利者)であり、
登記を受けるものがいないので、この条項は使わない
よって今回は関係なし
(c) 不動産登記法
不動産登記法16条1項は 独立行政法人○○の嘱託が無ければ登記することができない まーあたりまえかな
不動産登記法16条2項はいっぱい条文が書いてあり、それらを独立行政法人の嘱託による時の手続きについて準用するとの事。
ただ、これ見ると所有権保存の登記に関する、不動産登記法74条を準用してない?
ただ、76条の所有権の保存の登記の登記事項等は準用してる・・
準用してないからと言って、国の嘱託による保存登記ができないって意味までは無いだろうけど、不動産登記法3条の登記することができる権利や4条の登記の順位など重要法令も不動産登記法16条2項で準用してないし、国の嘱託の登記が3条を準用してないから所有権について出来ないとか、4条準用してないんで登記の前後によって決まらないとかは無いので、これなんでだろーと、わからない。
不動産登記法16条2項の「及びこの章(この条~)」で章全体を準用とするのか(この条)ってあるので、この章の中のこの条項を準用って事を書いてるのか、普通に考えて後者だとは思うけど。
ただ、嘱託による保存登記ができないと言いう事は無いだろうと思い。とりあえず、先に進む
とりあえず、次は
(官庁又は公署の嘱託による登記)
不動産登記法第百十六条 国又は地方公共団体が登記権利者となって権利に関する登記をするときは、官庁又は公署は、遅滞なく、登記義務者の承諾を得て、当該登記を登記所に嘱託しなければならない。
2 国又は地方公共団体が登記義務者となる権利に関する登記について登記権利者の請求があったときは、官庁又は公署は、遅滞なく、当該登記を登記所に嘱託しなければならない。
(官庁又は公署の嘱託による登記の登記識別情報)
不動産登記法第百十七条 登記官は、官庁又は公署が登記権利者(登記をすることによって登記名義人となる者に限る。以下この条において同じ。)のためにした登記の嘱託に基づいて登記を完了したときは、速やかに、当該登記権利者のために登記識別情報を当該官庁又は公署に通知しなければならない。
2 前項の規定により登記識別情報の通知を受けた官庁又は公署は、遅滞なく、これを同項の登記権利者に通知しなければならない
116条1項は、嘱託登記で官公署が登記権利者になる場合、義務者の承諾書必要ってことだけど、今回の保存登記って 所有者として登記するのであって「権利者」じゃないよね
権利者は義務者の対になる要件だから、2者対立の共同申請構造の場合のみに出てくる概念であるので、
不動産登記法116条は今回に関係なし。独立行政法人○○の嘱託での保存登記で義務者の承諾書とかいらない
117条も登記識別情報の通知に関してなので、とりあえず、関係無し。
ただ、所有権保存登記後、独立行政法人に識別情報は通知されるのか? 今後の問題としては残る。
結局、保存登記後独立法人に対して識別情報は通知されないんではないかと考える。
移転登記で、権利者となる場合でも原則、新たに通知されないですし、
独立行政法人が今後義務者側になる時に識別情報不要なんで
(d)不動産登記令
不動産登記令
(添付情報)
第七条
1項 登記の申請をする場合には、次に掲げる情報をその申請情報と併せて登記所に提供しなければならない。
六号 前各号に掲げるもののほか、別表の登記欄に掲げる登記を申請するときは、同表の添付情報欄に掲げる情報
(別表)官庁又は公署が関与する登記等
七十三
官庁又は公署が関与する登記等 | ||
七十三 | 国又は地方公共団体が登記権利者となる権利に関する登記(法第百十六条第一項の規定により官庁又は公署が嘱託するものに限る。) | イ 登記原因を証する情報 ロ 登記義務者の承諾を証する当該登記義務者が作成した情報 |
法116条1項が国が登記権利者となって登記する時に義務者の承諾書必要って条文なんで、
今回の保存登記には関係なし。
次に
不動産登記令7条
第2項 前項第一号及び第二号の規定は、不動産に関する国の機関の所管に属する権利について命令又は規則により指定された官庁又は公署の職員が登記の嘱託をする場合には、適用しない。
前項第一号、第二号は 簡単に言えば 代理人によって登記申請する時の代理権限証明書の添付しろとの規定について
上の青文字部分「命令又は規則により指定された官庁又は公署の職員」は一番最初のこの独立行政法人の法令、独立行政法人○○法施行令18条2項にて読み替え規定がある。
不動産登記令第七条第二項 | 命令又は規則により指定された官庁又は公署の職員 | 独立行政法人○○の理事長が指定し、その旨を官報により公告した独立行政法人○○の役員又は職員 |
ざっと書くと不動産登記令7条2項は
「代理権限証明書(委任状)は不動産に関する国の機関の所管に属する権利について独立行政法人○○の理事長が指定し、その旨を官報により公告した独立行政法人○○の役員または職員が登記の嘱託をする場合には、適用しない。
簡単に言えば、独立行政法人○○の委任状いらないよって事だと思うけど、この場合、理事長が指定し官報で公告した役員、職員じゃない場合は委任状必要なんだよね。
あ、勘違いでした。例えば依頼人たる、平役員から当事務所は委任状は必要だけど、その役員が理事長じゃなくても指定と公告あれば、理事長から平役員への委任状はいらないよって事かと。この場合って官報とか添付書類になるなるのかは疑問が残る。
結局は理事長からの委任状を貰えばすむことかなと。
次に
不動産登記令16条4項は(申請情報を記載した書面への記名押印等)についてであり、
簡単に言えば嘱託登記のときは印鑑証明書は不要。
不動産登記令17条2項(代表者の資格を証する情報を記載した書面の期間制限等)について、嘱託登記の時は適用しないとの事。
不動産登記令18条4項(代理人の権限を証する情報を記載した書面への記名押印等)簡単に言えば委任状に押印した人の印鑑証明書が必要だけど、嘱託登記の場合は適用しないって事。
不動産登記令19条2項(承諾を証する情報を記載した書面への記名押印等)は 承諾書に印鑑証明書必要って条文は嘱託登記の場合は使わないって事だけど、保存登記ではそもそも不要なので。今回は関係なし
まとめ
と、まー条文参照しましたけど、結局は主に不動産登記法16条の規定に従い、
独立行政法人○○の土地の保存登記は嘱託によるってこと
※ 後は委任状関係と識別の問題は少し残ってますが
では嘱託登記ってどうやるの?
次回は嘱託登記と登録免許税について