相続を原因とする持分一部移転登記

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大田区の司法書士事務所 ノア法務司法書士事務所の遠藤です。

相続を原因とする一部移転登記は認められないと言われてますが、この考え方ですと敷地権化されてない区分建物の場合、例えば被相続人が同じマンション内で部屋を2室持っていて、それに対応する敷地持分が分かれて登記されてる場合の相続登記の場合、登記識別情報が1通しか発行されないなどの不都合が生じる事があります。

相続を原因とする持分一部移転登記の可否

結論として相続を原因とする持分一部移転登記は認められます。

上の図が以下のような登記事項の場合

A室
1 保存 平成20年1月1日第100号所有者 住所 東京都○○ 
佐藤
B室
1 移転平成30年1月1日第200号所有者 住所 東京都○○
佐藤
甲土地
1 移転平成20年1月1日第150号共有者 住所 東京都○○
持分4分の1 佐藤 
(※ A室に対応してる敷地)
       (略)
4 移転平成30年1月1日第250号共有者 住所 東京都○○
持分5分の1 佐藤
(※ B室に対応してる敷地)

佐藤さんは同じマンションのA室とB室を違う時期に購入しました。

このマンションは敷地権化されてませんので、土地の登記事項に、佐藤さんの土地の持分は2回に分けて記録されてます。

相続が発生した場合

さて、ここで 佐藤さんが亡くなり相続が発生しました。相続人が田中さん一人の場合

建物については普通にA室、B室を一括に相続を原因として所有権移転で問題は無いです。

問題は敷地部分について 


登記の目的 佐藤持分全部移転
原因    年月日相続
相続人   (被相続人佐藤)
      持分20分の9※ 田中
      ※(敷地の4分の1と5分の1の和を分母を揃えると20分の9)

これでも、間違えは無いのですが、このようにA室に対応する敷地部分とB室に対応する敷地部分を持分全部移転登記で一括して登記申請しますと

土地につき登記識別情報が1通しか通知されないという問題があります。

持分全部移転登記で申請すると、敷地部分の登記識別情報が1通となる不都合が生じる。

不都合とは、例えば今後B室のみを売りたい場合、

申請で添付する、敷地の登記識別情報は上記この土地を一括で登記したときの登記識別情報です。

B室の登記が終わっても、この識別情報はA室に対応する土地についてはいまだ生きている登記識別情報と言えます。 

よって、まだ大事に保管が必要なのですが、このBの登記の時に識別を原本で提出したり、無くしたりする危険性を生じます。

又、このように一括で登記すると、A室、B室に対応する敷地の持分がわかりにくくなるという不都合も生じやすいと思います。

そこで、このような不都合を回避するために、持分一部移転登記が認められる必要があります。

また、このようなマンションは基本専有部分と敷地部分の一体処分化が原則ですので、このような申請を認める必要があります。

簡単に言うと専有部分と敷地部分がちゃんとわかりやすい対応関係になってた方が望ましいという事です。

また、そもそも相続において一部移転が認められないのは相続人と被相続人の共有状態と言う望ましくない状態が生じないためであり、

本件のように連件で申請する場合はそのような状態が生じないので特に問題は無いと言える

では、本件での申請はどうなるかと言うと


土地のにつき最初の申請は
目的 佐藤持分一部(順位番号1番で登記した持分)移転
原因 相続
相続人(被相続人佐藤)
   持分 4分の1 田中
(略)
不動産の表示
甲土地
持分4分の1佐藤

土地につき2件目の申請は

目的 佐藤持分全部移転(※2件目は残りの持分の移転なので全部移転となります)
原因 相続
相続人 (被相続人佐藤)
   持分 5分の1 田中
(略)
不動産の表示
甲土地
持分5分の1佐藤

結果登記事項には下記のように表記

甲土地
1.移転平成20年1月1日第150号共有者 住所 東京都○○
持分4分の1 佐藤 
(※ A室に対応してる敷地)
       (略)
4 移転平成30年1月1日第250号共有者 住所 東京都○○
持分5分の1 佐藤 
(※ B室に対応してる敷地)
5 佐藤持分一部
(順位1番で登記した持分)移転
令和1年5月5日受付第300号共有者 住所東京都○○
持分4分の1 田中
6 佐藤持分全部移転令和1年5月5日受付第301号共有者 住所東京都○○
持分5分の1 田中
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