戸籍の読み方の基本はまずは、その戸籍が何時から何時までの情報が記載されてるかを調べる必要があります。戸籍はどのような時に新しく作られるかを理解すれば、何時作られたか、その戸籍の始期がわかります。今回は戦前の戸籍の読み方について、実際の戸籍を見ながら解説していきます。戦前の戸籍では分家、家督相続と言う文字に注目します。
戦前戸籍の読み方基本
前の記事で戸籍は大まかに分けて、戦前、戦後の戸籍で様式が大きく変わるので、そこで分けて考えるのが大事と言いましたが、そもそも戸籍共通の読み方のポイントがあります。
ここでは、戦前、戦後戸籍共通の戸籍の読み方のポイントを挙げていきます。
戸主、筆頭者、本籍について
まずは軽く用語解説です。
○ 戸主 筆頭者 簡単に言えば戸籍の最初に記載される代表者です
戦前は戸主、戦後は筆頭者と呼ばれます。
※ 住民票の世帯主とは違います。未婚の独立した子供など世帯主ですが、筆頭者ではない場合もありますし、逆に死亡した元世帯主の筆頭者は筆頭者だけど、世帯主ではありません。
(残された妻などが世帯主)
(※ 前の記事にも書きましたが 筆頭者は死亡しても筆頭者のままです)
※ 戸主は戸籍上「戸主」と記載されてますが、筆頭者は戸籍上特に「筆頭者」と記載されてません。
戸籍上最初に出てくる人が筆頭者です。
〇 本籍地 戸籍の存在する所在地
(住所と似て非なるもの。検索番号位の感じで考えてもよいですし
又は本籍は戸籍と言う情報物の所在地、住所は人の所在地と考えても良いです。)
※ 但し、地方などは本籍地と住所地が同じ場合もあります。
1.その戸籍が何時から何時までの戸籍かを見る
戸籍の読み方のポイントとして、
戦前、戦後の戸籍に共通して、まず最初に、戸籍を取得してやることは、
その戸籍が何時から、何時までの情報を記した戸籍という事を確定させます。。
まずはその戸籍が何時に作られ、何時に終わったかを確定させる。
過去から現在までの戸籍はすべて 繋がっていますので、
戸籍の始期と終期が必ず戸籍内には記載されております。
必ず、次の戸籍を取ると前の戸籍の終期から始まっております。
では、戸籍の始期(戸籍が作られた日)はどこに記載されているか?
これをわかるためには、戸籍はどのような時に新しく作られるのかを理解する必要があります。
戸籍が新しく作られる要因
以下のようなときに戸籍は新しく作られます。大体この5つを覚えておけば十分かと思います。
1.戸籍法改正により様式の改製が行われたとき
2.転籍した時(本籍地を移転)
3.結婚した時(戦後戸籍のみ、戦前は結婚しても新しく戸籍は作られません)
4.戸主が死んだとき(家督相続)(戦前戸籍のみ、戦後は戸主(筆頭者)が死亡しても新しく戸籍は作られません)
5.分家した時(戦前戸籍のみ)
ですので、戸籍を見て、この情報がどこに書いてあるかを調べれば、
それが戸籍の始期となります。
具体的には戸籍の一番最初の欄にこの情報が記載されます。
※明治31年式戸籍は「戸主となりたる原因及び年月日欄」が戸主の記載の横にありますので、その日が戸籍が作られた日です。
戸籍の始期(及び終期)は一番最初の欄に記載されている。
では実際に見てみましょう
上のように戦前の戸籍があります。(なぜ、戦前の戸籍かとわかるかと言うと、筆頭者では無く、戸主と記載されているからです。)
この戸籍を見てみると、右上に本籍が記載され、下の段に戸主や戸籍内の人物(二男や三男)などが記載され、
戸主の上の欄にその戸籍が何時作られたか、(いつ終わったか)などの重要な情報が記載されております。
拡大してみると、昔の字なので読みにくいですが、ポイントは上で記載した戸籍が作られる要因の
分家や家督相続、転籍と言う文字を探すことです。
他は良く読めなくてもあまり関係無いです。
また、戸籍は本籍や名前など同じような事柄が先の戸籍にも出てくるので、基本読めなかったら読み飛ばして先に進んだほうが良いです。
最初の黄色のマーカに「分家」と言う文字が記載されておりますので、この日がこの戸籍が作られた日とわかります。
「東京府荏原郡池上村大字堤方町991番地戸主遠藤徳三郎長女分家届大正拾年参月弐日受付」と記載されております。
これにより、この戸籍は大正10年3月2日にできた、言い換えれば大正10年3月2日からの情報が記載されてるという事です。
分家について 分家の記載は「○○長女」「○○弟」「○○甥」等の記載があるが、これは
○○の長女ですよとか○○の弟ですよ○○の甥ですよってことです。
この戸籍の戸主(ぐちゃぐちゃ昔の字で書いてますが「きえ」)は遠藤徳三郎の長女ですよという事が読み取れます。
↓ 次の戸籍
この戸籍は先ほどの戸籍の次の戸籍となります。だいぶ読みやすくなったので、
ここでの情報で前の戸籍情報を推測します。(前の戸籍だと地番とか細かい点はほぼ読めないので)
黄色のマーカの部分に「家督相続」と言う文字がありますので、これがこの戸籍が作られた要因となりますので、この日がこの戸籍の始期となります。
ただ、それ以外にも色々記載されてますので、間違いやすい点として
戸籍の最初の欄には戸籍の始期から終期の記載のみでは無く、戸主に関する情報も記載される。
○まず最初の2行に「荏原郡池上村大字堤方九百九十一番地に於いて出生父遠藤芳太郎届出明治40年5月28日受付入籍」とありますが、これは別にこの戸籍が作られた要因では無く
、戸主の「出生」はその戸籍の始期となりません。
○次に3行目から4行目に「荏原郡池上村大字堤方九百九十一番地戸主遠藤徳三郎長女きえ大正10年3月2日分家に付き共に入籍」とありますが、これも戸籍が作られた要因である「分家」の記載ではなく、戸主の遠藤福太郎の情報として記載されております。
前の戸籍で戸主がきえさんの戸籍を見ましたが、そこに福太郎も入っておりましたが、
今回の戸主の遠藤福太郎は大正10年3月2日に徳三郎さんの長女のきえさんが分家したんで、その戸籍に入りましたよという戸主の情報として記載されております。
この分家がこの戸籍の始期だとしたら、戸主が福太郎と言うのがおかしいと慣れてくるとわかってきますが、
ただ、この「分家~共に入籍」は次の戸籍の戸主、筆頭者を調べる非常に大きな情報となります。
もし、上の戸籍の戦前戸籍②しかない場合で次の戸籍を探すときはこの情報により、次の戸籍を探せます。
※ 詳しくは今後のブログにでも
〇戦前戸籍は婚姻で新しい戸籍が作られません。
○5行目に「間宮なをと婚姻昭和三年6月2日○○(判読できない)」と記載されてます。
ただ、戦前の戸籍では婚姻によって新しい戸籍は作成されませんので、この点戸籍の始期とはなりません。
※ 戦後戸籍では婚姻によって新しい戸籍がつくられる。
以上が戦前戸籍の戸籍の始期の探し方の例となります。
まとめ
① 戸籍の見方の最初のポイントはその戸籍が何時作られたかを把握する。
② 戦前戸籍は「家督相続」、「分家」と言う文字を探す
③ 読めない文字はとりあえず飛ばせば他の戸籍で判別できる場合もある。
次は戦後戸籍について投稿します。
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