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  3. 根抵当権付き不動産を相続した時にやるべき事|大田区のノア法務司法書士事務所

大田区の司法書士事務所 ノア法務司法書士事務所の遠藤です。

根抵当権不動産を相続した時には根抵当権を抹消する場合、根抵当権を活用する場合、返済する債務者を決める場合等があります。それぜ俺についてケース別で申請書と登記原因証明情報記載例と共に解説致します。

はじめに

故人の不動産に故人が債務者の根抵当権が設定されている時、その相続手続きは抵当権の場合と異なり難しい手続きを含んでいる時があります。
又 6か月以内にする必要がある登記がありますので、急いで取り掛かる必要もあります。


そこで、根抵当権付き不動産を相続した場合の手続きについて解説します。

1.根抵当権と抵当権との違い

まずは、簡単に根抵当権と抵当権との違いを解説します

抵当権の場合

根抵当権の場合

元本が確定してない根抵当権の場合

このように、抵当権は債務と紐づいておりまして、債務が消滅すれば、抵当権も消滅しますが、根抵当権の場合は債務が消滅しても、根抵当権は消滅しません。

これは、根抵当権は極度額の限度内において、不特定の債権を担保するという性質があるからです。

極度額という枠内の中で債権が適宜入れ替わっていくという性質を根抵当権は持っております。
但し、根抵当権の元本が確定しますと、抵当権のような法的性質となります。

根抵当権と抵当権は他にも色々違いはあるのですが、ここでは概略にとどめます。

※ 元本確定 元本が確定する要因は色々ありますが、後述のように根抵当権の債務者の相続開始後6か月以内に指定債務者の合意の登記をしない時には元本が確定します。

2.根抵当権付き不動産を相続したらやるべき事

(1)金融機関へ連絡する。

故人の不動産に故人が債務者の根抵当権がついておりましたら、まずは金融機関へ連絡する必要があります。

どの金融機関で借り入れているかわからない場合は、

法務局で登記事項証明書を取ってみます。

登記事項証明書には根抵当権の設定の金融機関が記載されておりますし、銀行の場合は支店も記載されている場合もあります。

金融機関に 根抵当権の債務者が亡くなった事を伝えて頂ければ、金融機関の

担当者から現債務はどのくらいか、債務は完済しているのか等の借入状況等を教えてくれます。
根抵当権の場合前述のように抵当権と異なり債務が完済しても消滅しないですので、債務完済後も根抵当権が残っている事も良くあります。

まずは金融機関に連絡して借入状況を確認する

(2)相続人間において今後債務、根抵当権をどうするか協議する

根抵当権・ 債務の状況がわかったら、次に今後根抵当権の債務を誰が返済していくか 単なる返済にとどまらず、相続人の債務を新たに担保するためこの根抵当権を今後も使っていくか等を相続人間で協議する必要があります。

主な協議のパターン
1.債務も完済したし、特に新たな借入は考えてないので抹消する。
2.根抵当権を確定させることなく、相続人の債務も既存の根抵当権で担保する。(6か月以内)
3.根抵当権を確定させ、相続人の一人が債務者となり、既存債務を返済していく
4.借入や不動産の使用状況によっては相続放棄する。(3か月以内)

また、これらの手続きには期限が定められている手続き(3、6か月以内)もありますので、

早急に協議する必要もあります。

根抵当権の債務者の相続手続きは期間が定められている手続きがあるので相続人間で早急に協議が必要。

3.相続登記

根抵当権の状況がわかり、前述のように協議しましたら、根抵当権の抹消・変更登記等が必要となりますが その前提として、根抵当権が付いている不動産の相続による名義変更が必要となります。

前提と言っても、根抵当権抹消・変更登記の前に申請が終わっていなくてはいけないという意味では無く、基本的に同時に連件で申請します。

4.根抵当権の登記

(1)債務を完済している場合

前述のように金融機関に連絡して、債務が完済している場合で特に今後根抵当権を使用し借入をしない場合、根抵当権の抹消登記が必要となります。

金融機関に根抵当権を解除する旨を伝えますと、金融機関から根抵当権の抹消登記に必要な書類を送って頂けます。

(2)根抵当権を確定させることなく、相続人の債務を担保させるために根抵当権を存続させる場合

(事例1)
被相続人Aの相続人がB,Cの場合で Bが遺産分割で不動産を取得し、Bが指定債務者となる場合
今後根抵当権者である金融機関と取引する人を指定債務者と言います。

極度額1000万円の場合

上の図のように 亡Aさんが債務者の根抵当権がある場合。今後相続人の一人Bさんとの間に発生する債務をこの根抵当権で担保したいような場合は注意が必要です。

※この、借入の為、新たに抵当権、根抵当権を設定しますと登録免許税が余計にかかりますのでBさんにとってはメリットがあります。

この場合

①債務者の相続による共同相続人全員を債務者とする根抵当権変更登記
②指定債務者の合意の登記
③債務者の変更登記(指定債務者以外の債務者が離脱する事情によっては)
④債権の範囲の変更(指定債務者以外の債務者が離脱する等の事情によっては)

が必要となります。

この指定債務者の合意の登記は相続開始後6か月以内に登記をしなければなりません。
※6か月以内に合意ではなく登記まで必要です。
6か月以内に登記をしないと相続開始時において元本は確定するので、元本
確定前に行える登記ができなくなります。

① 債務者の相続による根抵当権変更登記

目的 〇番根抵当権変更 ※1※ 基本的に変更登記は「共同」の文言必要だが相続の場合は不要
原因 令和2年5月28日相続
変更後の事項  債務者  (被相続人 A)
     東京都大田区一丁目○○ B
     東京都新宿区一丁目○○  C

権利者 東京都港区○○  甲銀行 
    会社法人等番号(0100-01-000000)代表取締役 乙
義務者 東京都大田区一丁目○○ B
添付書類 登記原因証明情報※2(報告形式で可能) 登記識別情報 印鑑証明書 代理権限証明書
     会社法人等番号
申請日 令和2年7月28日 ※ 相続開始後6か月以内
登録免許税 金1000円 ※ 不動産の個数×1000円
不動産の表示 (略)


※ 権利者は金融機関、義務者は相続の不動産取得者。

②指定債務者の合意の登記

目的 〇番根抵当権変更 ※
原因 令和2年7月28日合意
指定債務者 東京都大田区一丁目 B
権利者 東京都港区○○  甲銀行 
    会社法人等番号(0100-01-000000) 代表取締役 乙
義務者 東京都大田区一丁目○○ B
添付書類 登記原因証明情報 登記識別情報 印鑑証明書 代理権限証明書
     会社法人等番号

申請日 令和2年7月28日 ※ 相続開始後6か月以内
登録免許税 金1000円  ※ 不動産の個数×1000円
不動産の表示 (略)

※ 「共同」の文言不要
※ 権利者は金融機関、義務者は相続の不動産取得者。
指定債務者合意の登記の登記原因証明情報(記載例)
                 登記原因証明情報
1 登記申請情報の要項
(1)目的 ○番根抵当権変更
(2)原因 令和2年7月28日合意
(3)指定債務者 東京都大田区一丁目 B
(4)当事者     
   権利者 東京都港区○○  甲銀行 会社法人等番号(0100-01-000000) 
       代表取締役 乙
   義務者 東京都大田区一丁目○○ B

(4)不動産の表示    後記のとおり

2 登記の原因となる事実又は法律行為
(1)債務者の相続  本件不動産上に設定されている根抵当権(平成〇年〇月〇日○○法務局受付第○○号)の債務者Aに相続が開始し、B,Cが相続人になった
(2)指定債務者の合意  本件根抵当権の根抵当権者甲銀行と根抵当権設定者Bは、令和2年7月28日、本件根抵当権の指定債務者をBと定める旨を合意した。  

令和2年7月28日 東京法務局○○出張所御中
上記の登記原因のとおりで相違ありません。
     権利者 東京都港区○○  甲銀行     代表取締役 乙   ○印(法人印)
      義務者 東京都大田区一丁目○○ B      ○印(実印)
  不動産の表示
(略)  

③ 指定債務者の合意の登記の注意点

指定債務者の合意の登記は当該根抵当権を存続させる登記です。

(あ)根抵当権者である金融機関と設定者である(不動産所有者)との合意によるものであり、金融機関と指定債務者との合意ではありません。

(い)被相続人の債務も引き続き担保されます。例えば 上記図のAさんの100万の債務は引き続き担保されます。

(う)指定債務者(本事例のB)の相続開始以前の債務は当然に担保されない

(え)他の相続人(本事例C)が債務者から離脱するわけでは無く、他の相続人も引き続き債務者である

④ 指定債務者の合意の登記がある場合のその他の登記

前述の(え)のように、Bが指定債務者となっても 他の相続人であるCも債務者であることに変わりはありません。

この場合Cが債務者から離脱するためには 
BがCの相続債務を免責的に引き受け、債務者をBとする根抵当権の債務者の変更登記が必要となります。(詳しくは後述)
※ 確定前の債務者の変更なので 登記の原因は 「変更」となります。(詳しくは後述)

それに加えて債権の範囲の変更登記も必要となります。

(3)相続人の一人を債務者と定め、その者が返済する場合

(事例2) 被相続人Aの相続人がB,Cの場合で Bが遺産分割で不動産を取得し、BがCの債務(Aの債務のC相続分)を引受け、亡Aの既存債務を相続人の一人Bがそのまま弁済していくような場合。

相続人の一人を債務者と定め、その者が弁済していく

この場合

①債務者の相続による根抵当権変更登記
③元本確定の登記(場合によっては省略可能)
③免責的債務引受による変更登記
※ 確定後なので債権の範囲の変更は不要

が必要となります。

※ 尚これらの変更は相続開始から6か月経過後にする必要があります。
根抵当権の債務者が死亡し 相続開始後6か月が経過してない根抵当権は浮動状態といえ元本確定前にできる登記も元本確定後にできる登記もすることができません。

免責的に債務を引受けて債務者を変更する場合、確定前は「変更」を原因とし、確定後は「債務引受」を原因とします。ですので、この6か月の期間は確定前のみにできる「変更」を原因とする登記をする事ができず、相続開始後6か月経過した後、元本が確定してから「債務引受」を原因として変更登記を入れる必要があります。

① 債務者の相続による根抵当権変更登記

この場合については、前述(2)①と基本的に同じです。

②元本確定の登記

目的 ○番根抵当権元本確定
原因 令和2年5月28日 確定 ※日付は相続開始日時
権利者 東京都大田区一丁目○○ B
義務者 東京都港区○○  甲銀行  会社法人等番号(0100-01-000000) 
代表取締役 乙
添付書類 登記原因証明情報 登記識別情報 代理権限証明書
     会社法人等番号
申請日 令和3年1月1日 ※ 相続開始から6か月経過後

登録免許税 金1000円 ※ 不動産の個数×1000円
不動産の表示 (略)

※尚 先に債務者の相続による変更登記をしている場合などは省略できます。相続による所有権移転登記で省略できるかについては、否定的な見解もあります。

元本確定登記の登記原因証明情報(記載例)
               登記原因証明情報                         
1 登記申請情報の要項
(1)目的 ○番根抵当権元本確定
(2)原因 令和2年5月28日確定 
(3)当事者 権利者 東京都大田区一丁目○○ B
       義務者 東京都港区○○  甲銀行    代表取締役 乙
(4)不動産の表示    後記のとおり  

2 登記の原因となる事実又は法律行為
(1)被相続人Aは、本件根抵当権の債務者である。  被相続人は、令和2年5月28日死亡した。
(2)債務者Aの死亡から6か月が経過したが、本件根抵当権について、指定債務者の合意の登記話されてない。
(3)よって、本件根抵当権は債務者Aの相続開始時である令和2年5月28日に元本が確定した。  

令和3年1月1日 東京法務局○○出張所御中
上記の登記原因のとおりで相違ありません。
権利者 東京都大田区一丁目○○ B          印(実印又は認印)
義務者 東京都港区○○  甲銀行 代表取締役 乙   印(法人届出印)

不動産の表示
(略)

③免責的債務引受による変更登記

目的 ○番根抵当権変更
原因 令和3年1月1日Cの免責的債務引受
変更後の事項 債務者 東京都大田区一丁目 B
権利者 東京都港区○○   甲銀行    会社法人等番号(0100-01-000000) 代表取締役 乙
義務者 東京都大田区一丁目○○ B
添付書類 登記原因証明情報 登記識別情報 印鑑証明書 代理権限証明書  会社法人等番号
申請日 令和3年1月1日 ※ 相続開始から6か月経過後  
登録免許税 金1000円 ※ 不動産の個数×1000円
不動産の表示 (略)  

※元本確定登記と権利者・義務者が逆となります。
免責的債務引受による根抵当権変更登記の登記原因証明情報(記載例)  
登記原因証明情報                         
1 登記申請情報の要項
(1)目的 ○番根抵当権変更
(2)原因 令和3年1月1日Cの免責的債務引受
(3)当事者 権利者 東京都港区○○  甲銀行                                   代表取締役 乙
義務者 東京都大田区一丁目○○ B

2 登記の原因となる事実又は法律行為

(1)甲銀行と相続人B,Cは、令和3年1月1日、甲銀行とAとの間で締結した本件確定根抵当権の被担保債権である平成〇年〇月〇日付金銭消費貸借契約に基づき甲銀行に対して負担する債務の全額を、相続人Bが免責的に引き受ける旨を約した。
(2)甲銀行とBは、(1)の免責的債務引受契約に基づき、令和3年1月1日本件確定根抵当権の債務者を次のとおり変更する旨を約した。
変更後債務者 B  

令和3年1月1日 上記の登記原因のとおりで相違ありません。
権利者 東京都港区○○  甲銀行    代表取締役 乙   ○印(法人印)
義務者 東京都大田区一丁目○○ B       ○印(実印)

不動産の表示 (略)  

5.まとめ

このように、根抵当権付き不動産を相続すると、その手続きは非常に複雑であり、期限が定まっている手続きもあります。

又、今後の返済者を決めたり、根抵当権をどうするかなど、金融機関等との打合せも必要となります。

司法書士等専門家に頼めば、時間と労力がかかる金融機関との打合せ等も専門家と金融機関で行い、手続きを進めていきます。

専門家に頼んだ方が、時間と労力を考えれば結局は安上がりと言うケースも多いかと思います。

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代表 遠藤太郎